真奈美さんがいるセレクトショップ『dips』は、一本杉通りのお洋服屋さん。店先には、いつもかわいい苔玉が並んで、愛嬌いっぱいで迎えてくれる。そして、その裏には、まるで秘密基地のような場所がある。真奈美さんがつくった『アトリエつばさ』だ。
　美大を出て、東京でグラフィックデザイナーをしていた真奈美さんは、結婚と出産を機にご主人の実家のある七尾市へ移り住んだ。能登に来た当初は、もう美術やデザインの仕事に携わることがないだろうと思っていたが、能登で暮らし子育てをしながら、たくさんの人と関わっていくうちに「絵画教室をはじめてみないか。」と誘いを受け、もう一度美術の世界に関わることに…。それからというもの、真奈美さんのもとには次々と楽しい工作のお誘いやアイデアが集まり、現在、dipsの裏の小さなアトリエは、子供も大人も集まる絵画と工作の教室になっている。

　真奈美さんのアトリエには、ユーモア溢れる面白いものがいっぱい。いらなくなった鉛筆を貼りあわせてできたオブジェや、新聞紙を貼りあわせてできた、かわいい仔犬の置物。「何か使えないかしら・・」と、近所の方や遠方の方から次々と持ち込まれるものたちは、やがて遊びの力へと変わっていく。身の回りにあるものが楽しいアートに変わっていく様子は、見ているだけでワクワクさせてくれるものだ。

　今回のプログラムでは『能登の石』を使って、ストーンペイントを体験。創造力が溢れるこの小さなアトリエで、思いのままにアートを楽しむ体験だ。アトリエにある様々な絵の具や筆を使って、自由に遊んでいると、思いがけない自分の創造力に気づくかも。

　真奈美さんといると、身の回りにあるものや何気ない日常の暮らしも、アートにして楽しむコツが、少しわかるような気がする。